自由が丘・自由日記


気の向くまま、ひとりごと。
by nattsu358
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パリ回想 vol6 「かなしいボン・マルシェ」


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午後、シャンゼリゼ大通りへ母を案内して、かなり歩き疲れてしまい、
夜に予定していた、バトー・ムッシュに乗るのをあきらめた。

午後7時、ボン・マルシェの食料品館へひとりでいった。
昼間、けっこう食べたので、夜はかんたんに
フルーツとミネラル・ウォーター、ヨーグルトなんかを買うために。

ボン・マルシェはシェルシュ・ミディに住んでいたとき、
毎日食料を調達していた思い出のスーパーだ。
数あるヨーグルトを選ぶときも、タラモサラダを選ぶときも、
キッシュなどのお惣菜を選ぶときも、
ものすごく切ない感情がこみあげてしまう。

なぜ、わたしはここでの生活を捨てて帰ってしまったのか?!
かけがえのない人を置いて、日本に戻ってしまった私。
そんな自分のことをどこかでずっと責めて生きてきた気がする。
東京にいても、心が半分パリにあるつらい状態が数年間続いた。

「本当にこれで良かったのだろうか?」
などと、考えてもどうしようもないことが浮かんでくる。
過去を想い続けるのは、本当に無駄で愚かなことと思っていたし、
ぜったいに振り向かないように努めてきた私だった。
自分の決めた行動を「後悔する」なんていうのは、
本当に後ろ向きでくだらないことだと。
なのに、ボン・マルシェのあの雑多のなかで、ばかみたいに
思いっきり郷愁に浸りながら、買い物のカートを押してぐるぐる店内を回った。
ほんとうは思い切り泣きたかった。

スーパーの至るところに、あの頃の思い出が散らばっていた。
いつも恋人と買い物した場所。
ずっとずっとあのスーパーのなかにいたかった。帰りたくなかった。
そして、私の頭の片隅では、もしかしたら彼が今でもあのアパートに住んでいて、
このスーパーに今、買い物に来るのではないかという小さな期待が浮かんでは消えた。
いまさら会っても仕方がないことは、100も承知のはずなのに。

夕暮れどき、レジを打つ音が鳴りっぱなしのスーパーで、
あんな悲しい気持ちで買い物している客は、きっとあの日私ひとりだったと思う。
現在をぜんぶ忘れて、私はものすごく孤独だった。
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by nattsu358 | 2004-10-17 21:38 | パリ回想
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